大阪 スタジオ 防音室 Real One 「THREE CALLS」サンプル 忍者ブログ

Real One

イザミカSSブログ。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「THREE CALLS」サンプル


表紙はみうさんから頂きました。ありがとうございます!




折原臨也という青年は、悪人ではない。もちろん、善人でもない。
腐れ縁の男に「反吐が出るような人間」と言われるような、歪んだ人間ではある。彼に関わった人間は、皆が皆、臨也を見て顔を顰めるようになる。

紀田正臣などが良い例であろう。臨也を信頼してしまった彼は、おそらくたくさんのものを失った。その心はどこか歪んでしまった。彼は臨也に脅えるようになり、臨也に会えば顔色を変えた。臨也を警戒し、親友に臨也を近づけないように必死なのは見ていて大変面白かったが、邪魔だった。
興味があるのは竜ヶ峰帝人であり、紀田正臣にはもはやあまり興味はない。だから帝人から意図的に遠ざけた。臨也の手にかかれば、大した手間でも無かった。
ついでに池袋で面白い騒動も起こせて一石二鳥。
所詮は子供、臨也の手にかかれば、そんなもの造作もない。首尾良く帝人の傍から正臣を消し、それがまた上手い具合に帝人の歪みを成長させた。

ますます面白い存在になっていく帝人に、臨也は笑みを隠せなかった。
親友を取り戻そうと必死になる帝人は歪み、いつも傍にいた少女すら遠ざけ、彼は一人になった。これまた上手い具合に傍から消えてくれた邪魔者に、臨也は声をあげて笑うしかなかった。

帝人はダラーズに固執した。
ダラーズが彼の理想通りの組織になれば、きっと親友も大事な少女も帰って来るに違いないと信じて、彼はダラーズに異常なまでの執着を見せるようになった。
自分は創始者だから。作った責任があるから。そんなもの言い訳でしかない。

彼らの帰ってくる場所を作る?
ダラーズを正しい組織にする?

ちゃんちゃらおかしい言い訳だ。違うだろう? 本当の理由はそれじゃないだろう?

――君はただ、〝非日常〟を失いたくないだけだ。

〝非日常〟に置いて行かれたくなくて、ダラーズに必死にすがりついているだけだ。なんて滑稽なのだろう。なんて愚かなのだろう。なんて人間らしいのだろう。

それでこそ人間は面白い。
帝人はきっと、もっともっと臨也を楽しませてくれる存在になるに違いない!
どこまで進化してくれる。
どこまで臨也の予想を裏切ってくれる。

彼を間近で観察するために、臨也は彼の信頼を得ることにした。かつて正臣にやったように、情報を与え、頼もしい大人を演じ、帝人の懐に入り込んだ。
一人になってしまった帝人は、やはり心細かったのだろう。心許せる相手を欲していた。その心の隙間にするりと入り込むのは容易かった。彼から全幅の信頼を得るのは、拍子抜けするほど簡単だった。
彼の丸い目が、臨也に憧れているのだと輝く。臨也を信頼しているのだと、安堵の色を浮かべる。
それは存外、悪くない気分だった。これから面白いモノを見せてもらうのだし、少しくらいサービスをしてやってもいいか、とかなり帝人には甘く接してやった。帝人相手に、そんな甘い気持ちになるくらいには、気分が良かった。
帝人は面白いように歪んでいった。
子供である分、色々な部分が柔軟なのだろう。
今までに純粋に間違いなく人生を歩んでいた分、その歪みは際立って見えた。

そろそろいいだろう。
帝人の信頼は十分に得た。彼はどっぷりと〝非日常〟に浸かっている。
舌舐めずりをして、臨也は火種を投下した。



「――ダラーズの危機だよ、帝人くん」







人を殺してしまった帝人くんが、臨也さんと駆け落ちするお話です。
歪んじゃった帝人くんと歪みまくってる臨也さんの相互依存のお話。
シリアスですが、やたらお互いを愛しまくっていることは確かです。
PR

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]